エフェクターを調べていると時々「バッファー(Buffer)」という単語が出てきます。
普段の生活に馴染みのない単語なので、初めて聞く方はチンプンカンプンだと思います。
今回はそんな敬遠されがちなバッファについて詳しく解説します。
目次
バッファーって何?
そもそもバッファー(Buffer)とはどんな意味でしょうか。
Buffer:[動詞](衝撃などを)緩和する、(子供などを)かばう、[名詞]緩衝器
このような意味を持っています。
ギター・ベース等に使われるエフェクター用語としてのバッファーもほぼ同じような意味です。
端的に言うと、バッファーは「(ギター・ベースの信号のインピーダンスを下げて)音を劣化しにくく・ノイズに強くする」といった目的で使用されます。
実は(アクティブPU搭載のものを除き)ギターやベースの信号はハイインピーダンスで出力されます。
ハイインピーダンスの信号はノイズや外部の干渉に弱く、非常に劣化しやすいです。
逆にローインピーダンスの信号はこのような劣化やノイズに強いという特徴があります。
したがって音の信号をハイインピーダンスからローインピーダンスに変換してあげることで、音の劣化やノイズを防ぐことができます。
特に劣化が顕著に現れるのはシールド・ケーブルが長いときです。
エフェクターをたくさん繋ぎまくって、5mの長いシールドを二本。
さらにパッチケーブルの総数は10本越え。
こんな配線をしていたら、間違いなく音が変化します。(ほとんどの人にとっては劣化だと感じるはず)
特に高音域の減衰が顕著に現れ、意図した音とかけ離れたものにガッカリするでしょう。
こうした音の劣化を防いでくれるのがバッファーです。
エフェクターの前段(ギターの直後、もしくはワウペダルの後段)に接続することで、楽器の信号をハイインピーダンス→ローインピーダンスと変換します。
すると後段にたくさんエフェクターを接続していても、劣化のしづらい元気な電気信号をアンプに送ることができます。
バッファードバイパスとトゥルーバイパスとの違いは?
ギターやベースの信号がOFF状態のエフェクターを通るとき、「トゥルーバイパス」と「バッファードバイパス」の二種類のバイパス方式があるのをご存知ですか?
トゥルーバイパスとはエフェクトOFF時にエフェクターの回路を通さないバイパス方式のことです。
もちろんエフェクターのバッファ回路を通過しないため、ハイインピーダンスのままです。
接続されているエフェクターが全てトゥルーバイパスかつエフェクトがOFFであれば、アンプ直と変わりません。(つまり沢山接続すると先程の動画のように音が劣化します。)
対してバッファードバイパスとは、エフェクトOFF時でも内部の回路を通るため常に”バッファを通過した音”になります。
当然バッファによって音の変化に違いがあるため、「原音から変化するもの」と「原音をほとんど変化させないもの」に分かれます。
バッファ内蔵のエフェクターを複数繋ぐことによって、バイパス時にも音が変化するので注意しましょう。
ここまで読むと「最初にバッファードバイパスのペダルを繋げて、あとはトゥルーバイパスでいいじゃん!」と思ったあなた!
トゥルーバイパスも万能ではありません。
実はバッファードバイパスのペダルと違い、トゥルーバイパスのペダルではスイッチングノイズが発生します。(ON/OFFスイッチを踏んだ時の「ボンッ!」ていうアレです)
ON/OFFの切り替えを頻繁に行うエフェクターがトゥルーバイパスだと考えものですね。
この辺に正解はありません。
おすすめバッファペダル5機種
専用機としてのバッファはクオリティーも高く、音質劣化を抑える目的での導入価値は十分にあります。
クリーンブースターとしての機能も兼ねているモデルもあるので、ペダルボードのレベルを一段あげる目的で導入してみてはいかがでしょうか?
それではオススメの5機種を紹介します!
TRUETONE ( トゥルートーン ) / PURE TONE
初めて専用機としてのバッファを購入するのであればこちらがオススメです。
6000円弱と比較的リーズナブルですが、しっかりとノイズに強い信号に変えることができます。
しかも本体がとても「小さい」です!
バッファは常時ONにするのが普通なので、スイッチを踏む必要がありません。小さければ小さいほど、機能を犠牲にせずにスペースを節約できます。
TC ELECTRONIC ( ティーシーエレクトロニック ) / BonaFide Buffer
こちらは同社の定番チューナーPolyTune 3にも内蔵されているBonaFide Bufferになります。
このバッファはとても自然な音で信号を劣化から守ってくれます。
筆者はPolyTune3 をバッファードバイパスモードにしているので、こちらのモデルのバッファ効果にはとてもお世話になっています。
こちらも間違いのない選択肢であると保証します。
PROVIDENCE ( プロヴィデンス ) / VZF-1 VITALIZER BF
国産エフェクターブランドの定番Providence社のバッファーです。
同社のエフェクターを愛用している方であれば、その音作りへのこだわりを既に知っていることでしょう。
バッファーにありがちな「ハイファイ過ぎる音」ではなく、原音のローファイさ・汚さをそのまま残しつつ信号を強くすることをコンセプトに設計されています。
また、アウター・バッテリーボックス付属し、DC9Vアダプター以外での駆動が可能になっています。
SUHR ( サー ) / BUFFER
ハイエンドギターやディストーションペダルRiotでお馴染みの、Suhr社のバッファーになります。
アルミニウムのボディが美しいですね。
主観ですがバッファー選びというのは、「音痩せで劣化した状態」と「バッファーを通した音」を自分の環境で試奏するのが一番だと思います。
楽器屋の試奏では中々厳しいと思うので、自分が贔屓にしている会社のバッファをとりあえず買ってみることをオススメします。
ハイエンドモデルの名に恥じない、グラウンドループを解消するためのアイソレーションアウトや、2台のアンプが逆相の際に発生する低中音域の減衰を解消するフェイズ・スイッチを搭載しています。
Empress Effects ( エンプレスエフェクト ) / buffer+
ラックレベルの高品質エフェクターを沢山出しているカナダのブランドEmpress Effectsのバッファーになります。
バッファーとしての機能はもちろん、ブースターとしてゲインアップ機能、チューナーアウトを搭載しており、まさに完全無欠のバッファと言えます。
お金に余裕があればこれを選んでおけば大丈夫だと思います。
まとめ
・バッファは音をノイズに強く、劣化しにくくさせるもの
・複数のバッファ回路を通過すると音は変化する
・初心者には常時ONのクリーンブースターかバッファードバイパスのチューナーがおすすめ
・トゥルーバイパスとバッファードバイパスを上手く使い分けるとGOOD