AirPods MaxはDTM/音楽制作用のモニターヘッドホンとして使えるのかレビューしてみた

AirPods Maxを購入後しばらく使用してみたので音楽制作視点でレビューしてみました。

※本記事はAirPods Maxを音質レビューと共に”音楽制作に耐えうるヘッドホンなのか”という視点で考察するため、それ以外の空間オーディオや充電や着け心地などには一切言及致しません。

AirPods Maxの音の傾向は?

音は限りなくフラットに近く、解像度も聴き疲れしない程度に高いです。

Appleが提唱するコンピュテーショナルオーディオがどんな仕組みで作用しているのかはわかりませんが、”原音に忠実”というマーケティングメッセージの通り徹底的に素直な音を鳴らすようにチューニングされていると思いました。

特にスピーカーだとウーハーを使わないと鳴らしきれない50~60hz以下の低音がキレイに出ていることと、3.0khz以上の高音域の表現力が高く「本当にワイヤレスなの?」と疑ってしまうほどです。

本当に全帯域がキレイに鳴るので今のところ弱点らしい部分が見つかりませんし、どのジャンルも90点以上の音で鳴らしてくれると思います。

例えばコンシューマ用のSony WH-1000XM4と比較すると、あちらは低音がかなり盛られているのでもともと低音が強い曲だと中音域を邪魔してしまったり、音量を上げると中高音域が汚く歪み出すためやはり価格なりの差はあるんだなと感じました。

ミックスダウン/マスタリングに使える?

AirPods Maxがフラットな音質でそこそこ解像度も高いのはわかったけど、じゃあミックスマスタリングで使えるの?と疑問に思うでしょう。

個人的にはスピーカーと併用する前提であればそこそこ使えると思います。

音楽制作だけを目的とするのならばMDR-7506やATH-M50Xの方が価格も安く解像度もそれなりにあるのでAiprods Maxでなくても問題ありません。

ただ上記の2機種だと鳴らしきれない60hz以下の低音をAirPods Maxはキレイに鳴らしてくれるので、普段使いのヘッドホンとしても使用する場合は十分候補に入ります。

またマンションやアパート住まいの方はスピーカーを大音量で鳴らすことができないので、どうしても60hz以下の低音のモニタリングが困難です。

一番驚いたのは中高音域の音の鳴り方や解像度の高さが筆者が愛用しているGENELEC 8010aにとても近いんです。(もちろん8010aはスピーカーなので音場の広さや、定位感という意味では敵いませんが)

またノイズキャンセリングが優秀なので、新幹線の中や周りの騒音が気になる環境でのデモトラックの作成/確認にも使えると感じました。

ただ家でじっくりと制作に没頭する場合はスピーカーを使った方が確実です。

AirPods Maxにしかできないこと

マスタリングが終了して曲を書き出した後に、リスナーが再生する環境でもアーティストの意図通りの音が鳴っているかどうかを確かめる人は多いと思います。

ここ数年のリスナーが曲を聴くシチュエーションとしては、iPhone本体のスピーカーや付属のイヤホン(EarPods)、最近だとAirPodsやAirPods Proが多いでしょうか。

最近は特にワイヤレスで聴く人が主流だと思いますが、どうしてもコンシューマ用のワイヤレスヘッドホンやイヤホンはメーカそれぞれの味付けが強いため良くも悪くも聴くジャンルを選びます。

一方で余計な味付けがなく高解像度でハイエンドからローエンドまでの音域をキレイに鳴らすことができるAirPods Maxでアーティストの意図通りに鳴るのであれば、他のどのコンシューマ用ヘッドホンやイヤホンで鳴らしても破綻することなく再生できると思います。

Sennheiser MomentumやSony WH-1000シリーズなどの他のコンシューマ用ワイヤレスヘッドホンでは無理でしょう。

そういった意味でAirPods Maxは”コンシューマ用”リファレンス機だと思います。

まとめ

AirPods Maxは移動中や外出先でデモトラックを作るときや、ミックス/マスタリング後のリスナーの再生環境での最終確認などに使うのであれば間違いなく最高のパフォーマンスを発揮するでしょう。

何よりも普段使いのヘッドホンとしてもこの上なくクオリティが高いので、アーティストなら「是非自分の曲をAirPods Maxで聴いてくれー!」と思うのではないでしょうか。

デザインもモダンでアーティスティクですよね。

ミュージシャンの方にオススメできるヘッドホンだと思います。

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