三回に渡ってお伝えしてきたシリーズ「自作エフェクターを始めよう!」も最終回。
今回はお伝えしていた通り、Z.VexのSuper Hard Onを作りますよ!
なお、【準備編】と【回路探し編】の知識を前提として話が進みますので、ご注意を。
目次
Z.VexのSuper Hard On
結構お値段のするエフェクターです。良質なクリーンブースターとして有名ですね。
今回はできあがったら弟に押し売りあげようと思います!レイアウトはこちら!
はい、頑張って作図してみました。まずは部品を揃えましょう。
下記は筆者が秋葉原でお買い物をするときに実際に使ったリストです。
- コンデンサ0.1μ
- 電解 コンデンサ10μ
- 抵抗5.1k
- 抵抗100k
- 抵抗1M 2つ
- 可変抵抗5K-B
- 可変抵抗用のワッシャー
- 可変抵抗用のナット
- MOS-FET BS170
- ダイオード1N914 2つ
- ラグ板
- モノラルジャック
- ステレオジャック
- 3PDTスイッチ
- DCジャック(2.1mm、型番MJ-10)
- 電池スナップ
- LED
- LED用抵抗1~4k
- ダイオード1N4001(組み込み時使用)
- ケース(加工済み)
- ノブ
- 配線用ケーブル 2m
買ったパーツを並べて、各パーツの名前を記入した写真。
後で見たらピンぼけしていました…申し訳ないです。
今回は良い部品、加工済みのケースを使ったので、全部で4000円近くしました。
Super Hard Onなら3000円以下で作るのも簡単なので、ご安心を。
可変抵抗のワッシャーとナットは組んだ状態で撮ったので、別に用意しました。
また他のエフェクターを組む際のお役に立てればと、
今後良く使うであろうICと可変抵抗(基板直付)についても写真を用意しました。
レイアウト図の部分を作ろう
レイアウト図に沿ってパーツを組み合わせていきます。
ダイオードや電解コンデンサの向きを間違えないように!
今回はラグ板を使いましたが、普通の基板でもやることは一緒です。
背の低いパーツからつけていきましょう。そのほうがやりやすいです。
丁寧にはんだ付けしていきましょう。
あんまり長いことハンダゴテを当てているとパーツが壊れます。注意。
今回は部品点数が少ないので、すぐ終わるかと思います。
だいたいこんなかんじになります。
余った足は切っちゃいましょう。切った足はとっておいてください。
あとで使います。(写真の躍動感がすごいですね。)
レイアウト図にある可変抵抗の部分に関しては今じゃなくていいです。
あとで組み込んだほうが楽なので、あえて飛ばしています。
「レイアウト図以外の部分」を作ろう
前回の【回路探し編】で紹介した図を参考に、レイアウト図以外の部分を作ります。
ケーブルの長さには余裕を持ちましょう!
覚えておきたいポイント集
先ほどとっておいた「切ったパーツの足」がフットスイッチ部に使われています。
このパーツの足を使ったテクニックは、覚えておいてください。
近い位置の配線をする時にわざわざケーブルを剥かなくて済むので便利です。
今回は可変抵抗の配線が一部近いので、そこにも適用できますね。
ちなみに、電池スナップはつけなくても動きます。
アダプタでしか動かさない方は省いてしまっても結構です。
可変抵抗の「爪」は今回は使わないので、このようにペンチで折ってしまいましょう。
ケーブルの被覆を剥くときは、ワイヤーストリッパーを使うと楽です。
LEDはボンドでとめました。
今回は加工済みのケースを使ったので、LEDの大きさに対して穴がガバガバ。
かなり強引な接着になってしまいました。
今回使ったのは「LEDと抵抗とケーブルが最初から一緒になったもの」。
千石電商さん製です。要は自分で配線するのを横着しました。
加工済みのケースを使うときは穴の大きさに注意しましょう。
例えば今回の場合、DCジャック用の穴が大きく、使えるパーツが限られていました。
だから先述のパーツリストでも型番を指定していたんですね。
実店舗では店員さんが教えてくださるかもしれませんが…
ネットでパーツを買っているときは寸法をよく読んで購入しましょう。
合体
「レイアウト図の部分」と「レイアウト図以外の部分」を合体させます。
最初にざっくり位置を決めておきましょう。
ひたすらケーブルを剥いてはハンダ付けしていく作業です。
図を見ながら、確実に配線していきましょう。
配線が終わるとこうなるのですが…。
筆者は見えないところに気を配るという精神が欠如していまして。
いつもあまり綺麗に仕上がりません。
なんなら、よく見るとパーツが焦げているのがわかると思います
。エフェクターボードしかり、配線という作業には性格が出ますね…笑
エフェクターの裏蓋にビニールテープを貼っています。
これは忘れちゃいけない絶縁作業。これを怠ると回路がショートして音が出ません。
故障の原因にもなります。確実にやりましょう。
基板部分はビニールテープを巻いて終わらせようと思っていました。
しかし、パーツの足がテープを貫通したので、プチプチで包んでみました。
絶縁にホットボンドを使うという方法もありますが、後戻りができなくなります。
そうするまえに必ず動作確認をしましょう。ホットボンドを使わない人も同様です。
ちゃんと音は出ましたか?
出なかった方→下記の「配線完了!だけど音が出ない…」をご覧ください。
「ツマミをいじるとガサガサ音がする」方→Super Hard Onの場合は仕様です。ご安心を。
音が出た方→おめでとうございます!蓋をして完成です。
「蓋をしたら何故か音が出ない」なんてこともあります 。最後まで丁寧に確認しましょう。
配線完了!だけど音が出ない…
初めてですぐに音が出た人はセンスがありますよ。
筆者は、音が出ない原因がわからず2年くらい放置していたエフェクターもあったり。
音が出ない時に筆者が確認するポイントをいくつか紹介します。
1. はんだ付けはしっかりできているか
これが一番多いですかね。
近くのパーツ同士が意図せずくっついてしまっていたりすると、ショートして動きません。
綺麗なはんだ付けは、トラブルを減らします。
ゆっくり時間をかけて、慎重にはんだ付けしていきましょう。
2. パーツの極性は合っているか
先述の電解コンデンサ、ダイオードなど、極性(向き)が間違っていると動きません。
トランジスタやICの向きなんかも気をつけてください。
3. つけ忘れているパーツ、配線し忘れている部分はないか
そんなアホはお前だけだよ!って言われちゃいますかね。
でも、長時間作業していると、意外とそういうミスをしてしまうものです。
特に回路が複雑なものになると、パッと見では気づかなくなります。
レイアウト図とよくよく照らし合わせてみてください。
4.絶縁に失敗している箇所はないか
先ほども絶縁について触れましたが、やはりこれも多いです。
例えば、DCジャックとインプットジャックを結んでいるダイオード。
ダイオードをビニールテープで巻いちゃってもいいくらいです。
ちなみに、熱圧着チューブというものを使うと、より綺麗に仕上がりますよ。
まとめ
根気よく情報収集、ハンダの溶ける匂いにまみれる。そんな泥臭い遊びです。
決して簡単とは言いませんが慣れればどんどん量産していけるようになります。
理系的な知識を特に持っていないにも関わらずです。まさにプラモ感覚。
何よりも、自分で作ったエフェクターはとても愛着がわきます。
筆者も、自分で組んでから10年近くペダルボードに鎮座しているペダル、ありますよ。
皆さんも愛しのエフェクター、組んでみてはいかがでしょうか!