「リバーブってエフェクターは必要なの?」
「なんだかたくさん種類があるけどどれを選んでいいのかわからない」と悩んでいませんか?
歪みエフェクターは持っているけどリバーブを持っていないギタリストの方は多いと思います。
良いリバーブを使うとそれだけで演奏のクオリティが底上げされるので、たかが残響成分だと侮ることなく高音質なモデルを選びましょう。
この記事では初心者向けにリバーブの種類と選び方の解説、おすすめのモデルを紹介します。
また記事の後半では中級者以上の方に向けてハイエンドな高音質・多機能リバーブの選び方とおすすめモデルも紹介します。
目次
初心者向け:リバーブってどんなエフェクター?
リバーブとは”Reverberation”という”残響”を意味する単語から名付けられています。
特徴としては部屋の中でドラムを叩いた時の空気の反響音や、大きいホールで歌ったとき響き渡るような残響音をイメージするとわかりやすいと思います。
そのため私たちは日常生活でも天然のリバーブ成分を聴いていますが、音楽に使用するリバーブは人工的なものも含め色々な種類が存在します。
ここでは代表的なリバーブを5種類解説します。
スプリングリバーブ
まず最初に紹介するのはスプリングリバーブです。
Fenderなどのギターアンプに標準で搭載されているため、ギタリストにとってはお馴染みのリバーブだと思います。
本物のバネを物理的に振動させることでリバーブ成分を作っており、少しローファイ感のある雰囲気が加わります。
サーフミュージシャンのテケテケやジャズのソロなど古くから親しまれているサウンドです。
プレートリバーブ
次にプレートリバーブを紹介します。
こちらは金属板の振動からリバーブを生成する仕組みで、先ほどのスプリングリバーブより音の濁りが少ないため素直な残響を作りたいときに重宝します。
ギターだけではなくボーカルに使用されることが多く、ジャンルを問わず多用されているリバーブになります。
ホールリバーブ
リバーブに馴染みのない人にとってはこのホールリバーブが一番イメージしやすいかもしれません。
コンサートホールのような大きい空間で音を出した際の反響を再現したものがホールリバーブの特徴です。
先ほどのプレートリバーブよりも残響音が減衰するまでの時間が長く、より大きな空間の広がりを演出したいときに最適です。
ルームリバーブ
次に紹介するのはルームリバーブです。
先ほどのホールリバーブが大きい空間の残響を再現していたのに対して、ルームリバーブはレコーディングスタジオ等の小規模の空間での音の反射を再現しています。
アンプにマイクを立てずに直接ライン録りをした後にルームリバーブを軽くかけてあげると、宅録特有の”ライン臭さ”が無くなるのでおすすめです。
他のリバーブと一緒に重ねがけされたり、ドラムやボーカルにも使用されていて非常に活躍頻度が高いため、必ず抑えておくべきリバーブです。
シマーリバーブ
比較的歴史が浅いながらもその独特のサウンドから大人気のシマーリバーブを紹介します。
こちらは原音に+5度や+8度などの音を加えてリバーブ成分をより煌びやかな響きにするといった特徴があります。
ゆったりとした浮遊感が出るためアンビエント系の曲に使用されたり、シンセサイザーとも相性がよかったりします。
百聞は一見にしかずということで実際の音を聴けば早いかもしれません。
初心者向け:おすすめリバーブ 最初はこれがおすすめ!
それではここから初心者の最初の一台目におすすめのリバーブを紹介します。
最初は何を買えばよいか悩んでしまう方も多いと思いますが、複数種類のリバーブが搭載されていて、市場で売れ筋の人気モデルから3つ選んでみました。
迷っている方はここから選べば大丈夫です!
JOYO / JF-317 Space Verb
まずとにかくリバーブを使ってみたい!と考えている人はJOYOのSpace Verbを選びましょう。
ルーム・ホール・プレートの3種類が搭載されているのに加えて非常にリーズナブルな価格帯のリバーブです。
操作系統も3つツマミでコンパクトにまとめられていて扱い安い上に、本体サイズも小さいので気軽に持ち運ぶことができます。
BOSS / RV-6
次は天下のBOSSから発売されているRV-6です。
その製品名からもわかるようにBOSSのリバーブペダルの中で5回のモデルチェンジをしてきた超定番機種です。
搭載されているリバーブも8つのアルゴリズムが網羅されていて、ホールやスプリングリバーブなどの王道に加えて、残響音を揺らしたモジュレーション付きリバーブやディレイをミックスしたリバーブなど、今日のギターサウンドを全て網羅する守備範囲の広さです。
長く使えるリバーブが欲しい方はこちらを選びましょう。
TC ELECTRONIC / Hall of Fame 2
初心者向けとして最後にご紹介するのはTC ElectronicのHall of Fameです。
こちらもBOSS同様8種類のアルゴリズムが搭載されていて守備範囲的には死角なしです。
このモデル唯一の特徴として、フットスイッチにかかる圧力でパラメータをコントロールするMASH機構と、インターネットからプロのギタリスト達が作成したプリセットをダウンロードできるTonePrint機能が搭載されています。
シンプルな操作感を好む人はRV-6、機能の多さを重視する人はHOF2を選びましょう。
中級者以上向け:高音質・多機能なリバーブの選び方
さて、ここからは中級者以上の方に向けて高音質・多機能なリバーブペダルの選び方とおすすめモデルを紹介します。
音が良いリバーブってどんなの?
まず最初に”音が良いリバーブ”(いわゆるハイエンドモデル)は普通のリバーブと比べて何が優れているのか解説します。
基本的にリバーブはデジタルで動作するものが大半ですが、エントリーレベルとプロが使うようなハイエンドなものでは音のクオリティにかなりの差があります。
安価なペダルでは原音を一度デジタル信号に変換して残響成分を加えているため、どうしても原音が劣化してしまいます。
特にリバーブを深めにかけた時には音が引っ込む感じ顕著に現れます。
一方でハイエンドなリバーブ(StrymonやEventideなど)では原音はアナログ信号のまま処理して、リバーブ成分だけを後からミックスするため、エフェクトを深めにかけても原音が引っ込むことがありません。
またハイエンドなモデルになると24~32bitで信号の処理を行うため、残響成分(特に10khz以上の高音成分)がはっきりと出るようになります。
この辺はスマホやPCと同じで中に入っているCPUチップの処理性能が高くなっているのが理由になります。
多機能は当たり前!モデル毎の個性で選ぼう!
お気に入りの設定をプリセットで保存したり、MIDIでプリセットを呼び出したりと最近のハイエンドリバーブは使い勝手の面でも非常に洗練されています。
そうすると多機能でなんでもできる一方で、それぞれのエフェクターの個性や訴求軸を見出すのが難しくなってしまいます。
「どのモデルもプリセット保存ができるし、複数のリバーブタイプが選べるし、何を基準に選んで良いかわからない」と迷っている方も多いと思います。
自分の演奏するジャンルや用途と各モデルの強みを把握した上で比較・検討を行いましょう。
中級者以上向け:おすすめのハイエンドリバーブ5選
今回は”そのペダルにしか出せない付加価値や個性”を軸におすすめのリバーブを比較しようと思います。
海外の機材情報サイトを参考に著名なミュージシャンが使用しているメーカーの中から、高音質・多機能なリバーブペダルを5つ選んでみました。
STRYMON ( ストライモン ) / blueSky Reverb
こちらはおそらくハイエンドリバーブで真っ先に名前が挙がるであろうStyrmonのblueSkyです。
このペダルの強みはとにかく操作が簡単な上にプレートリバーブ、スプリングリバーブ、ルームリバーブの基本的な3種類を搭載しているところです。
またShimmer(シマー)と呼ばれる原音に1オクターブ上の音を重ねて重厚かつ煌びやかな音像を作り出すモードを上記の3種類と併用して使えるため、古典的なリバーブサウンドと現代的なHi-Fiサウンドの両方の音を作ることができます。
また追加でStrymon純正のMulti Switchを使用すればプリセット数を拡張できるのも素晴らしいです。
blueSkyついては単独でじっくりとレビューを書いているので以下の記事もご覧ください!
Walrus Audio ( ウォルラスオーディオ ) / Descent Reverb
こちらはWalrus Audioの多機能リバーブDescent Reverbです。
このモデルは上記のblueSkyの守備範囲を飛び道具よりに寄せたリバーブで、原音を逆再生した残響成分を追加するReverseモードや、shimmerリバーブで±1オクターブの音をそれぞれ個別に追加することができます。
またプリセット3つまで登録できたり、外部入力を使いエクスプレッションペダルでパラメータをコントロールしたりと一般的な多機能エフェクターと同等の拡張性を持ちます。
スプリング・プレートリバーブが使いたい人はbluesky、逆再生やシマーリバーブを積極的に活用したい人はDescent Reverbを選びましょう。
Empress Effects ( エンプレスエフェクト ) / Reverb
こちらはカナダのハイエンドエフェクターメーカーEmpress EffectsのReverbというモデルになります。
このペダルを一言で表現すると”何でもできる”リバーブです。
ルーム/スプリング/プレート/ホールと基本的なリバーブタイプはもちろん残響成分の音を揺らすModulationや逆再生のReverse、残響成分の音を劣化させたLo-Fi、シマーリバーブのようにオクターブ成分を足すSparkleなど全部で12種類のリバーブタイプを収録しています。
超多機能な分プリセット管理やツマミ操作が大変ですが、1台で何でもカバーしたい人にとっては最適なリバーブペダルにだと言えるでしょう。
STRYMON ( ストライモン ) / NIGHTSKY リバーブ
今回2回目の登場となるStrymonのNightskyというリバーブは今回紹介するペダルの中でも特に唯一無二のサウンドが出ます。
こちらはblueskyと同様残響成分にシマーリバーブで音を足すことができるのですが、何とシマーで足す音の度数(ピッチ)を自由に選択することができます。
またモジュレーションかけて揺らす際にも変調の波形を3種類から選択できたり、さらには簡易的な8Stepシーケンサーでテンポに合わせてシマーリバーブのピッチを変化させたりとカオスな機能が複数搭載されています。
絶対に誰とも被らないリバーブサウンドを求めている人やギターだけではなくシンセサイザーにも組み合わせて使いたい人にとっておすすめです。
EVENTIDE ( イーブンタイド ) / Space
こちらはラック型のエフェクターで有名なEventideのSpaceという多機能リバーブペダルです。
EmpressのReverbと同様に定番+飛び道具の両方のリバーブタイプを一通りカバーしていますが、このペダルの特権としてファームウェアアップデートでEventideのアイコニックなリバーブタイプが複数追加されています。
例えば、まるで宇宙空間にいるようなBlackholeと呼ばれるリバーブ(これ単体でペダルも出ています)や残響成分を歪ませたMangleVerbなど個性的なサウンドでは前述のEmpressよりもさらに広い範囲をカバーしています。
またプリセットが100個まで登録できるのでMidiスイッチャーと組み合わせて使用するとその守備範囲の広さを最大限に活用することができます。
まとめ
元々はリバーブというのは単なる残響音であくまでもギターやシンセなど楽器の音が主役でした。
しかしもうリバーブは裏方のエフェクターではなく、リバーブの音で曲の良し悪しが決まるといっても過言ではありません。
せっかく良い楽器を使っていてもあまり良くないリバーブのせいで、その楽器本来のサウンドが失われてしまっている人は多いと思います。
恥ずかしながら筆者もStrymonのペダルを使い始めてから初めてそのことに気がつきました。
妥協のないリバーブペダルを使うことで最高の演奏に一歩近づけると思います!